頂点や面を操作することで好きな形に出来るモデリングですが、一度歪みなど大きな変形を加えてしまうと、元の形に戻すのが難しくなってしまうので注意が必要です。
Blenderで衣類やゴム製品など柔らかいオブジェクトを作成する際、メッシュの本来の形を残しつつ変形(ディフォーム)を加えたい場合は「ラティス(Lattice)」モディファイアーがおすすめです。
ラティスモディファイアーを追加する
今回変形を加えるのは下の帽子のメッシュ。ベースは出来上がっていますが、帽子のつばの部分に少し丸みを加えたいと考えています。
位置ツールを用いて頂点を動かすことも可能ではあるものの、別のシーンで使う可能性があったり、メッシュを必要以上に変形させたくないので、ラティスモディファイアーを適用していきます。
オブジェクトを選択した上で、プロパティの「モディファイアー」から「ラティス」を選択します。
ラティスモディファイアーを追加しただけではメッシュに変形を加えることができないので、一度オブジェクトモードに切り替え、「Shift + A」またはビューポート上部の「追加」から「ラティス」を選択し、ラティスオブジェクトを追加します。
ラティスとは「格子」という意味で、対象となるオブジェクトの周りに格子(ケージ)を追加し、ケージの形を変形することでケージの中にあるオブジェクトを変形するものです。
追加されたラティスオブジェクトは上のようなワイヤーフレームの立方体。スケールを使って対象オブジェクトよりも大きめのサイズに変更しましょう。
次にラティスオブジェクトが選択された上で、プロパティの「ラティス」の項目に移り、「解像度: UVW」の項目から分割数を指定します。今回は調整する頂点はそこまで多くないので、解像度UとVを「6」、Wを「4」にしています。
最後はケージの中にある対象オブジェクトを選択し、モディファイアーの「ラティス」の「オブジェクト」の項目で、先ほど追加したラティスオブジェクトを選択して、モディファイアーの効果を適用します。
オブジェクトを変形する
ラティスオブジェクトは基本的に頂点のみの操作になるので、頂点の位置を動かしたり、スケールを活用することで対象オブジェクトの変形できます。
上の帽子のメッシュを例にしてみましょう。左右のつばのみに丸みを加えたいので、左右にある頂点を選択し、移動ツールを使って上方向に動かしてつばの部分を持ち上げます。
頂点が選択された状態で、スケールツールを使ってY軸方向を少し小さくします。
ラティスの頂点の移動とスケールの変更のみで調整したものが下のメッシュ。元のものに比べ、より立体感がでてきました。
上手く変形できない場合は対象オブジェクトまたはラティスオブジェクトの分割数が足りないのが多くの原因となるので、ループカットを使って分割数を増やしたり、ラティスオブジェクトの解像度UVWの数値を変更すると良いでしょう。
このラティスオブジェクトはモディファイアーの「適用」を行い限りは非破壊でメッシュの変形を行えるので、とても便利なツールです。一つのオブジェクトを作成した後に色々な変形を加えたい時に役立つので、ぜひ活用してみてください。
(MIKIO)