2009年に海外の映像専門学校を卒業後、長らく現地で企業向けの紹介動画などを制作していました。案件を抱えていく中で、「3DCG制作ができるとどんなに良かったか・・」と思うことが何度もあり、新しい技術を学びたいと思う反面、時間や予算がなく、3DCGは遠い存在でした。
しかし、「be CG Artist!をオープンしました!立ち上げ理由と筆者プロフィールを紹介」の記事で紹介しているように、新型コロナウィルスの影響で帰国し、いっぱい時間が出来たことで「せっかくだし3DCGを本格的に学んでみよう」と考えるようになりました。
スクールにも行かず、講師のいない、参考書が少ない、「独学」でやってみることにした訳なのですが、意外と3DCG創作を楽しめた1年でした。
おそらく、他の人のスピードと比べると筆者は遅いほうかもしれませんが、自分のペースと今後極めていきたい方向性も見つけることが出来たので、良いかなと考えています。
今回の記事ではそんな筆者が1年間3DCGを独学でやった時の状況やその時のアウトプットなどを紹介していきたいと思います。筆者と同じようにこれから3DCGを学びたいと思う初心者に役立てれば幸いです。
2年目の状況やアウトプットもアップデートしました。気になる方は「[2年目] 3DCG初心者が独学したらどうなった?その時の状況やアウトプットを紹介!」もチェックしてみてください。
1ヶ月目
3DCGソフトウェアはBlenderにするか、Cinema 4Dにするか迷っていましたが、これまで色々なCGクリエイターから「Cinema 4Dは映像制作に最適」と言っていたのを思い出し、Cinema 4Dにすることにしました。30%オフのサマーセールをMaxonがしていたというのも一つの理由です。
C4Dのサブスクリプションはしたけれど、そもそも基本的な操作方法もわからなかったのでUdemyにあった「Cinema 4D Masterclass: The Ultimate Guide for Beginners」を購入し、基本操作方法を学んでいきました。
このコースは英語ですが、Cinema 4Dで使うツールや簡単なモデリング、ライティングやレンダリング、物理演算など最低限必要な知識を学ぶことが出来ました。
最初の数週間はCinema 4Dに慣れるのにいっぱいいっぱいで、立方体などオブジェクトを組み合わせるだけのモデリングしか出来なかったので正直不安でしたが、ローポリゴンでモデリングするチュートリアルで練習していき、一つの街を作ることに。
完成したプロジェクトはこちら。モデリングを初めて1週間程度で完成させました。押し出しや面内に押し出しのほかテクスチャリングに少しずつ慣れるようにしました。
2ヶ月目
ある程度モデリングに自信を持てるようになったので、Cineversityなどのチュートリアルを見ながら色々なモデリングを作ってみることにしました。
ローポリではあるもののもう少しディテールの多い作品を作りたいと思い、サターンVロケットのモデリングを完成させました。
3ヶ月目
使うレンダラーによって見た目をガラッと変える事ができるのがわかり、YouTubeやウェブなどで検索しながら色々なレンダラーを比較していました。
RedshiftやOctane Rendererなど魅力的でしたが、その時はまだmacOSに対応していなかったので、体験版でCycles Rendererを入れてみることに。
未完成でしたが、その時に作ってみた作品がこちらの鳥居と神社。
Cinema 4Dの標準・フィジカルレンダラーに比べると見た目は良くなりましたが、個人的にちょっと使いづらかったのと、見た目にはあまり満足していませんでした。
4ヶ月目-5ヶ月目
さらにレンダラーを色々探した結果、筆者的にmacOSとの相性が良い&フォトリアル、使いやすい、そしてお手頃価格のCorona Rendererに出会い、45日の体験版とチュートリアルを見ながらCorona Rendererに慣れていきました。
操作になれた後で作った作品がこちらの部屋のモデリング。この期間はレンダラーの操作に慣れるだけではなく、本格的なライティングや細かいディテールのモデリングの練習になりました。
この時に使ったツールはデフォーマ、SDS、クロスなど。テクスチャを使ったマテリアルを多く使用したものの、テクスチャリングは少々苦手と感じました。
しかしフォトリアルなアウトプットには満足したので、試しにDMCデロリアンのモデリングも作ってみることにしました。
本当はデロリアンが出来上がればそれで終了の予定だったのですが、バック・トゥ・ザ・フューチャーの世界観も出したいと思い、ヒルバレーも作ることに。
約3週間かけて完成した作品がこちら。
モデリングの途中でクラッシュしてデータを飛ばすなどのトラブルもありましたが、モデリングをするのがますます楽しいと感じられるようになりました。
6ヶ月-9ヶ月目
結婚や福岡県への移住、開業の準備などでドタバタで3DCGの練習を残念ながらできなかったです。非常にもったいない期間でした。
10ヶ月目
3DCG練習を再開。復習を兼ねてiPhone 12 ProやApple Watchのモデリング、架空のスマートフォンのモデリングなどを行いました。
3ヶ月間Cinema 4Dに触れていなかったので、正直忘れているか心配だったものの、なんとかなりました。
11ヶ月目
少しだけステップアップをしたいと思い、これまで個人的な創作だった3DCGを実際の案件に入れてみることに。元々絵コンテには含めていなかったのですが、良い練習になるかと思いプロジェクトに3つのシーンに3DCGを加えました。
完成したプロジェクトがこちら。3DCGを入れたシーンが天井の「お座りください」とバーの外観、そして最後のロゴ部分です。
実写と組み合わせとカメラの動きなどを追加する簡単なアニメーションはとてもいい練習になりました。
建物をGoogle Mapのストリートビューから確認しながらモデリングしたことで、だいぶモデリングの自信もつくようになりました。
12ヶ月目
10ヶ月目で久々にCinema 4Dを触った時に3DCG制作の中で個人的に好きな工程がモデリングなんだなと気づきました。より細かいディテールをモデリングをするのがとても楽しいと感じたのです。
とある案件でストックフォトを探していた時に、ぴったりだと思う写真が無かったので3DCGで作成するなどしていました。ディテールにこだわると同時にモデリングのスピードも上がっていると感じています。
ちなみに12ヶ月目に入ってモデリングしている作品がこちら。
テクスチャもまだ追加していないので未完成状態ですが、6日程度で電車の外観、駅のホーム、電車の内装をモデリングすることが出来ました。
1年通して感じたこと
休学期間もあったので実質まだ1年以下かもしれませんが、3DCGを1年勉強して感じたことは筆者みたいな素人でも学ぼうと思えば独学でできると感じています。
もちろんスクールなどに行くのがベストかもしれませんが、「作るのが好き」だと感じられれば、筆者のように楽しく学べると思います。
Cinema 4Dを含む3DCGソフトウェアは数え切れないほどのツールや機能があったり、3DCGの工程も様々あるので「どこからスタートすれば良いのかわからない・・」と考えるかもしれません。
しかし、「フォトリアルなCGを作ってみたい」や「かっこいいタイトルやアニメーションを作ってみたい」だったり、「実写と合成してみたい」など、簡単な目標さえ持っていれば自然と上達できると思います。
1ヶ月目でその目標を作ってみたり、筆者のように途中から「モデリングって楽しいかも・・」となるのもありです。とにかく何らかの目標を持てば作るモチベーションになるし、完成した時の達成感がとても気持ちよく感じられることでしょう。
筆者は未だにテクスチャリングが苦手だったりアニメーションにあまり手を出していなかったりするので、この1年でもっと学べたものはあったのではないか・・と思う部分はありますが、個人的に満足しました。
1年通してモデリングにはだいぶ慣れたので、2年目の目標としてはテクスチャリングやアニメーションを本格的に学ぼうと考えています。さらに練習を重ねて、こちらでもチュートリアル記事として紹介していく予定です!
2年目の状況やアウトプットは「[2年目] 3DCG初心者が独学したらどうなった?その時の状況やアウトプットを紹介!」の記事に紹介しているので、気になる方はこちらもぜひチェックしてみてください。
(MIKIO)