モデリングはデッサンのように実物を見ながら行うこともありますが、時には設計図や写真を下絵にして、スプラインや立方体などのオブジェクトを使ってモデリングを行う場合もあります。
Cinema 4Dなどではシーン設定から行えたりしますが、Blenderの場合は「背景(Background)」または「参照(Reference)」という画像オブジェクトにして読み込むことで、下絵(背景)として設定することができます。
背景または参照の追加
Blenderを開いてオブジェクトモードにしたら、ビューポート右上の視点切り替えからXYZ軸のいずれかをクリックし、平面(平行投影)の表示にします。
続けて、メニューバー上部「追加」またはショートカット「Shift + A」で「画像」の中にある「背景」または「参照」をクリックします。
するとファイルブラウザが開くので、背景として設定する画像を選択し、「下絵を読み込む」をクリックします。今回はUnsplashで入手したワイングラスを背景画像として設定してみます。
画像は「エンプティ」のオブジェクトとしてビューポートに追加されます。
「背景」を追加した場合、デフォルトではXYZ軸の平行投影のみに背景が表示されるようになっており、3D表示である透視投影にすると自動で非表示になるので、モデリングがしやすくなります。
透視投影でも表示させる場合は「参照」にするか、後述するエンプティのオブジェクトデータプロパティの設定を変更することで表示できます。
背景の不透明度を変更する
追加した背景はデフォルトで「100%」の不透明度となっており、スプラインや立方体などのオブジェクトを追加してモデリングすると、少し邪魔に感じてしまうかもしれないので、不透明度を変更することをおすすめします。
アウトライナーまたはビューポートから背景として設定しているエンプティのオブジェクトをクリックし、プロパティの「データ」のタブをクリックし、オブジェクトデータプロパティを開きます。
「不透明度」にチェックを入れ、数値を入力または左右にドラッグして不透明度を変更します。上の画像の例では「25%」である「0.250」に設定したもの。
背景と参照の違い
前の項目では「背景」を使った方法を紹介しましたが、「参照」を選んでもデフォルトの設定が異なるだけで、基本的に同じものとなっています。下の画像は「背景」と「参照」の両方をビューポートに追加したもの。
平行投影では両方とも表示されていますが、透視投影にしてみると「参照」のオブジェクトのみ表示されています。
平行投影に戻し、-X軸にしてみると「参照」のものは反対側にも画像が表示されていますが、「背景」の場合はオブジェクトのパスが見えるだけで、画像が表示されていません。
加えて、ビューポートのグリッドを比較してみると左の「背景」は画像の上にグリッドが表示されているのに対し、参照は通常のオブジェクト同様にグリッドの上に表示されています。
このように背景と参照とでは細かな違いがありますが、設定が異なるだけの同じオブジェクトなので、いずれを選んでもオブジェクトデータプロパティから変更できるので大丈夫です。
オブジェクトデータプロパティの設定
オブジェクトデータプロパティでは画像の大きさや位置を設定する「サイズ」、「オフセットXY」に加えて、「深度」、「サイド」、「表示先」のオプションが用意されています。
「深度」では下絵を表示する深度を設定します。「後」にするとグリッドの後ろに表示され、「デフォルト」または「前」を選択すると、グリッドの前に表示されます。
「サイド」では下絵をどの軸に表示するかの設定です。「背景」を選ぶと前面のみに表示する「前」となっていますが、反対側のみに表示する「後」にしたり、両面表示の「両方」にすることもできます。
「表示先」では下絵を表示する投影方法を選択します。背景の場合デフォルトで「平行投影」のみとなっていますが、「透視投影」にもチェックを入れることもできます。
基本的に「平行投影」にチェックしてあれば問題ないと思いますが、下絵が表示されない場合などはその下にある「軸に平行な時のみ」もチェックも入れておくと良いかもしれません。
背景を固定する
下絵を追加してスプラインなどを使ってモデリングする際、デフォルトのままだと下絵のオブジェクトが選択可能になっているので、他のオブジェクトと干渉してしまいます。
下絵を表示しつつ、操作できない状態にするにはアウトライナーの「フィルター」の項目を開き、「選択可能」のオプションをオンにします。
その後で、背景の「選択可能」のアイコンをクリックして無効化すると、ビューポートでは選択できなくなります。
下絵を使ってのモデリングはキャラクターを作り時や、より正確なメッシュを作成する際に便利なツールなので、ぜひ活用してみてください。
(MIKIO)