Blenderで標準搭載されているライトオブジェクトは、エリアやスポットなど照射方法の異なるライトを選ぶだけではなく、「カラー」の項目から簡単に光源の色を変更することができます。
カラーホイールや彩度、色相を使って好みの色にすることはできますが、白熱電球や蛍光灯などを再現する際に正しい色味を出せなかったり、現実世界の照明の色に近づけることができない場合があります。
特に部屋の内装といった建築物をメインにモデリングする際は、フォトリアルな感じを出せるようにするため、私達が普段目にする色に近づけるのが最適です。しかし、プロパティにある「カラー」を使うと、細かな操作が必要になるのであまり向いていません。
そこで便利な方法としてライトオブジェクトの色味を「色温度(Color Temperature)」で設定する方法です。既存のライトオブジェクトに「黒体(Blackbody)」のノードを接続するだけで、「ケルビン(K)」を使って調整できます。
色温度とは?
色温度は簡単に言えば「光源が持つ光の色を数値で表示したもの」で熱力学的温度の単位である「ケルビン(Kelvin)」が使われています。ろうそくの火がオレンジ色、蛍光灯が白色、空が青色のように同じ光源を発するものでも、それぞれ異なる色があり、その色によって色温度の数値も異なります。
「赤い=熱い」のイメージがあるので、ろうそくの火や白熱電球は高い色温度と思いがちですが、実は赤い色が1,000K、白色が5,000K、青色が10,000Kのように冷たい色ほど、色温度が高くなっています。
Blenderのライトオブジェクトに色温度を指定する
今回はこちらのシーンで照らしているライトオブジェクトを使います。プロジェクトには3つのエリアライトを配置しており、サイズや明かりの強度は調整しているものの、「カラー」の項目はデフォルトの白色のままになっています。
プロパティには色温度のパラメータがデフォルトでは用意されていないので、ライトオブジェクトを選択して、プロパティの中にある「ノードを使用」をクリックします。
上部の「Shading」タブをクリックし、シェーダーノードを表示させます。下部のシェーダーエディターに選択したライトオブジェクトのノードが表示されるので、「Shift + A」または「追加」の「コンバーター」の中にある「黒体」をクリックしてノードを追加します。
「黒体」の「カラー」を「放射」の「カラー」に接続すると、下の画像のようにライトオブジェクトの色が反映され、濃いオレンジ色になります。
デフォルトの「1,500」でレンダリングしたものがこちら。1,500Kと赤に近いオレンジ色なので、「温度」の数値を変更して、もう少し自然な色に調整してみましょう。
温度を白熱電球の色に近い「3,200K」にしたものがこちら。ちょうど良い温かみのある見た目になりました。
今度は蛍光灯の色に近い「4,600K」にしたもの。色温度を設定していない「カラー」の時に比べ、より自然な白色になっています。
最後は日中の太陽光の色に近い「5,600K」にしたものがこちら。先ほどの4,600Kとさほど変わらないように見えますが、こちらの方がやや白色が強めになっています。
「カラー」を使った方法でも問題ないのですが、ネオンやLEDなど色の付いた光源ではなく、内装などで良く使われる電球や蛍光灯、空などの色を表現する場合は今回紹介した色温度であれば調整もしやすいので、光源を追加するシーンやオブジェクトに合わせて、カラーを使うのか色温度を使うのかを決めるのが良いと思います。
(MIKIO)