電柱やデバイスのケーブルやコードを3DCGで作成する際、円柱オブジェクトを変形したりスプラインやプラグインを活用して作成することができますが、モデリングするメッシュによってはダイナミクス(物理演算)を使って作成するのも一つのテクニックです。
今回の記事ではCinema 4Dにおけるスプラインに力学を加える「スプラインダイナミクス(Spline Dynamics)」を使ってケーブルを作成する方法を紹介します。
Cinema 4Dのスプラインダイナミクス
「スプライン」ダイナミクスとあるようにスプラインダイナミクスはCinema 4Dにある物理演算エンジンを使用するツールの中でもスプラインに特化したものです。
Cinema 4Dでスプラインを追加した後で、オブジェクトマネージャからスプラインを右クリックして「ヘアタグ」から「スプラインダイナミクス」を選択してオブジェクトにタグを追加します。
タグを適用させると変化がありませんが、シーンを再生させるとスプラインが下に落下していきます。このままだとケーブルを再現できないので、スプラインのカスタマイズなどを行う必要があります。
スプラインダイナミクスの調整
スプラインダイナミクスを適用させるにはスプラインのポイントを固定し、分割数を増やすことでよりそれっぽく見せることができます。
ヘア制限の設定
スプラインダイナミクスタグを適用したスプラインを再生しても、重力の効果によって下に落ちるだけなので、落下を防ぐためにスプラインのポイントを固定させる必要があります。
スプラインダイナミクスを適用させたスプラインを右クリックし「ヘアタグ」から「ヘア制限」を選択してタグを追加します。
次にスプラインのポイントを固定させるためのオブジェクトを追加します。今回は立方体を配置していますが、ヌルオブジェクトでも適用できます。
オブジェクトマネージャでスプラインを選択し、ポイントモードに切り替えて固定したいポイントを選択します。
その後でヘア制限タグをクリックし、「タグ」の中にある「オブジェクト」に立方体をドラッグし、「セット」をクリックしましょう。
この状態で再生してみるとヘア制限を設定したポイントが固定されるようになりました。もう一つのポイントにも同じようにオブジェクトとヘア制限タグを追加し、位置を固定させましょう。
分割数を増やす
ヘア制限タグを追加したことでスプラインの固定はできたものの、直線のままなのでケーブルらしさがまだありません。スプラインの分割数を増やしていきましょう。
オブジェクトマネージャからスプラインを選択して、ポイントモードにした上で2つのポイントを選択し、右クリックします。
「細分化」の歯車アイコンをクリックして分割数を入力します。今回は柔らかいケーブルにするため分割数を「30」にしました。
スプラインは細分化されましたが、これによって下の画像のようにヘア制限の設定が解除される場合があります。その際は再度ヘア制限タグを選択してポイントを固定すると良いでしょう。
分割数が均等ではない場合は「細分化」を行う前にオブジェクトマネージャからスプラインを選択し、「オブジェクトの属性」の中にある「タイプ:線形」、「補間法:均等」のように設定しておくと良いでしょう。
スプラインの分割数「30」にし、ポイント同士の位置を均等にして見た結果がこちら。ケーブルの動きがよく分かるようにタイムラインの時間を「600F」など長めにしておくと良いでしょう。
シーンを再生中であればヘア制限を適用したプロジェクトを動かせるので、スプラインを好きな位置に移動させる事もできます。
スプラインにポリゴンを追加する
よりケーブル感を出すためにスプラインにポリゴンを追加していきます。基本的に「スプラインとスイープのジェネレータを使って簡単なパイプをモデリングしてみよう!」の記事で紹介した時と同じ方法を使用します。
ビューポートに円形オブジェクトを追加し、サイズを調整します。
スイープジェネレータを追加し、上のように円形オブジェクトとスプラインをスイープの中に格納させましょう。
こうして完成したものが上のようなもの。テクスチャなどを適用すればよりケーブルらしさが出てくると思います。
今回はスプラインダイナミクスの基本的な操作方法について紹介しましたが、また別の機会にてスプラインをより簡単に作成する方法や、スプラインダイナミクスに衝突オブジェクトを適用させる方法など、このツールを使った応用を詳しく紹介したいと思います。
(MIKIO)