3DCG制作の工程の1つであるテクスチャリング(Texturing)はモデリングで作成したオブジェクトに質感を与える重要なプロセスになります。
シンプルに色を追加するだけであれば簡単ですが、金属やガラスを表現させたいのであれば反射や透過など様々なプロパティの数値を変更して調整する必要があるので、モデリングやレンダリング同様にかなり時間をかけていく必要があります。
マテリアルやテクスチャはプロパティの数値を変更しながら作成する方法のほか、ノード(Node)を使用して、複数の要素を組み合わせて複雑なテクスチャを作成することが可能です。
今回の記事ではマテリアルとテクスチャの基本的な情報とCinema 4Dにおけるマテリアルの適用方法を紹介していきます。
マテリアルとテクスチャ
オブジェクトに質感を追加するテクスチャリング(Texturing)では主にマテリアル(Material)とテクスチャ(Texture)の2つの用語があります。3DCG制作では頻繁にこの2つの用語が使われるので、一見同じものだと思ってしまうところですが、厳密には違うものです。
マテリアルは日本語で「材料」を意味しており、その名の通りオブジェクトに適用させる金属や木材などの素材のことを指します。
「質感」を意味するテクスチャはその素材の表面の質感や凹凸を表現するための子要素になります。
マテリアルエディタではこのマテリアルとテクスチャの両方を設定できるので、非常に紛らわしいですが、「テクスチャ」の項目からPhotoshopのようにノイズやカラーを組み合わせて、質感を作ることが出来るようになっています。
マテリアルの追加
Cinema 4Dでマテリアルを追加する方法はマテリアルマネージャをダブルクリックするか、「作成」から「新規デフォルトマテリアル」をクリックしてデフォルトのマテリアルを追加します。
ちなみに「Control(Cmd) + N」のショートカットを使って追加することも可能です。
標準とPBRマテリアル
Cinema 4Dのマテリアルは「標準マテリアル」と「PBRマテリアル」の2種類が用意されています。
どちらを選んでも問題はありませんが、「PBR=Physical Based Render」は物理ベースレンダリングに特化された設定が反映されるものになります。立方体にデフォルトの標準、PBRマテリアルを追加してレンダリングした例を見てみましょう。
まずは「1. 標準レンダラー&PBR」のもの、グローバルイルミネーション(GI)やアンビエントオクルージョン(AO)を追加していないので、フラットな感じです。レンダリング時間は「1秒未満」でした。
「2. 標準レンダラー+PBRマテリアル+GI+AO」を組み合わせたもの。自然な感じにはなりましたがレンダリングが「42秒」になりました。
次に「3. フィジカルレンダラー+標準マテリアル+GI+AO」の組わせです。先程のPBRマテリアルを適用したものにある程度近づきながら、レンダリング時間が「4秒」と高速でした。
最後は「4. フィジカルレンダラー+PBRマテリアル+GI+AO」です。「2」で使用した設定のレンダリング結果とほぼ同じとなり、レンダリング時間が「28秒」と「2」の時の半分となりました。
標準またはPBRマテリアルは「見た目を優先するか」、「物理的に正確なのか」のどちらを求めるかによって切り替えると良いでしょう。PBRは物理的に正確な分、計算も多くなるのでレンダリングにかなり時間をかけてしまうので、注意してください。
プロパティの設定
追加したマテリアルをダブルクリックすると「マテリアルエディタ」が表示され、この画面からマテリアルやテクスチャの調整などを行うことが出来るようになります。
標準マテリアルを追加した場合、デフォルトで「カラー」と「反射」のプロパティにチェックが追加されていますが、「透過」などチェックを追加していくことで、そのプロパティがマテリアルに反映されるようになります。
各項目を説明すると非常に長くなってしまうので、今回のチュートリアルでは4つの立方体にそれぞれ「カラーのみ」「金属」、「ガラス」、「木材」のマテリアルを設定していきましょう。
ちなみにプロジェクトは床オブジェクトとフィジカルスカイを追加し、レンダラーを「フィジカル」、グローバルイルミネーションとアンビエントオクルージョンを追加しています。
カラーのみ
サイドバーの「カラー」のみにチェックを入れ、「カラー」の項目から反映したい色を設定します。筆者の場合は赤色にしたかったので、「H:344%」、「S:91%」、「V:77%」に設定しました。
金属
次にステンレスのような銀色の金属を再現してみましょう。サイドバーの「反射」のみにチェックを入れ、「タイプ: Beckmann」にします。
「表面の粗さ:0%」、「鏡面反射強度:80%」に変更にすると金属のようになりました。
ガラス
サイドバーの「カラー」、「透過」と「反射」にチェックを入れるとマテリアルに透過が追加されるようになります。
屈折率を変更することで、透過を液体っぽくしたりすることも可能ですが、今回はガラスを表現したいのでデフォルトのままにしておきましょう。
木材
コンクリートやアスファルトといったものは手動でテクスチャを作成することも可能ですが、画像を使うとより簡単にリアルな感じにすることができます。
今回の例ではCinema 4Dが用意している木材のテクスチャを反映してみましょう。サイドバーから「カラー」をクリックします。
カラーの中にある「テクスチャ」の三角アイコンをクリックし、「サーフェイス」から「木材」を選択するとマテリアルが木材のようになりました。
オブジェクトへの適用と削除
作成したマテリアルをオブジェクトに追加する場合はマテリアルを選択して、反映したいオブジェクトにドラッグ・アンド・ドロップするか、オブジェクトマネージャの一覧にドラッグすれば適用されます。
同じマテリアルを他のオブジェクトにも適用させたい場合はオブジェクトマネージャにあるマテリアルを選択しながら「Control(Command)」キーを押しながらドラッグすればできます。
削除したい場合はオブジェクトマネージャのマテリアルを選択し、「Delキー」で行うだけで削除されます。
今回紹介した操作方法を覚えればCinema 4Dでのマテリアル作成にある程度慣れると思います。プロパティの細かな設定などは今回書ききれなかったので、また別の記事で詳しく紹介していこうと思います。
(MIKIO)