Maxonが提供しているRedshiftはGPUをベースにしたレンダラーです。これまでは主にNVIDIA GPUのみに対応していたため、Windows向けのレンダラーのイメージがありましたが、近年のアップデートによりmacOSにも対応するようになりました。
GPUベースのレンダラーの強みはレンダリングスピードが早いことです。もちろん、搭載しているGPUのスペックに左右されるものの、CPUベースのレンダラーに比べてより早くレンダリングを行うことが出来ます。
be CG Artist!ではこれまでにRedshift体験版のインストール方法やシェーダーグラフの基本的な使い方、画像テクスチャであるPBRテクスチャの反映方法などを紹介してきました。
モデリングとRedshiftのマテリアルを反映し、ライティングを適用した後で一番最後に行うのがレンダリングです。今回の記事ではRedshiftにおけるリアルタイムレンダリングと最終レンダリングを行う方法を紹介していきます。
ProgressiveとBucketレンダリング
RedshiftではProgressive(プログレッシブ)とBucket(バケット)の2つのレンダリング方法が用意されています。
この2つどちらを使ってもシーンのレンダリングを行うことは出来るものの、Progressiveレンダリングは主にモデリングやマテリアル、ライティングの効果を確認するためざっくりとしたレンダリングを行うもので、Bucketレンダリングはピクセルごとに正確なレンダリングを行う最終レンダリングに向いています。
Progressiveの場合はレンダリングスピードが速い反面、ノイズが目立つことがほとんどで、Bucketに比べると色味や質感が多少変わる場合があります。上の例ではProgressiveでレンダリングを行い3秒程度で出力できました。
そしてこちらのBucketで行った際は4分程度と時間がかかりましたが、ノイズは目立っておらず綺麗にレンダリングができました。
RedshiftではProgressiveをプレビュー用、Bucketを最終レンダリング用としてデフォルトで設定してありますが、レンダリングモードを変更したい場合はレンダリング設定の「Redshift」の項目を開き、「モード:Advanced」にします。
「Sampling」にある「Interactive Rendering(プレビュー)」と「Progressive Rendering(最終レンダリング)」の項目からそれぞれ指定したいレンダリングモードを選ぶと良いでしょう。
レンダリング設定
Cinema 4Dを使ったRendshiftのレンダリング設定は「Cinema 4Dでレンダリングを行ってみよう!シーンの書き出しや基本設定とは?」と同じ方法で解像度などの出力設定を設定します。
Redshiftの項目ではよりノイズを軽減するため、「Sampling」の項目にある「Progressive Passes」からパス数を指定します。筆者の場合は「1024」にしていますが、数値が高ければ高いほどレンダリング時間が長くなるのでシーンに合せて調整しましょう。
グローバルイルミネーションの設定は「Global Illumination」の項目から行います。主に「Primary GI Engine(プライマリGIエンジン)」、「Bounces(バウンス数)」、「Secondary Engine(セカンダリGIエンジン)」を設定します。
上の画像のようにプライマリを「Brute Force」、バウンス数を「5」、セカンダリを「Irradiance Point Cloud」を選ぶのが良いかもしれません。
Cinema 4Dのフィジカルレンダラーにあるアンビエントオクルージョンの設定は用意されていないので、マテリアルごとに適用させると良いでしょう。
画像ビューアーとRedshift RenderView
Redshiftでレンダリングを行う場合はCinema 4D標準の画像ビューアーとRedshiftが用意しているRedshift RenderViewが利用できます。
画像ビューアーでレンダリングを行う場合はデフォルトの設定であればBucketレンダリングが行われます。基本操作は「Cinema 4Dでレンダリングを行ってみよう!シーンの書き出しや基本設定とは?」と同じなので、気になる方は合せて読んでみてください。
Redshift RenderViewは上部メニューの「Redshift」の項目から「Redshift RenderView」をクリックしてビューアーのウィンドウを起動します。
Redshift RenderViewの使い方
BucketとProgressiveの切り替え
Cinema 4Dの画像ビューアー、Redshift RenderViewの両方使ってレンダリングを行うことが出来ますが、Redshift RenderViewを使うことでProgressive、Bucketのレンダリングを切り替えることが出来ます。
左上にあるカチンコのアイコンは「Render」のボタンになり、最終レンダリングであるBucketレンダリングを行います。
その横にある再生アイコンは「Start/Stop IPR」はProgressiveレンダリングをリアルタイムで行います。
IPR=Interactive Progressive Rendering(インタラクティブプログレッシブ・レンダリング)を開始すると常にレンダリングされるので、カメラを動かしたり、マテリアルを変えるとRenderViewの画像もそれに合わせて反映されます。
IPR(Progressive)でレンダリングを行っている最中にBucketレンダリングに切り替えたい場合は上部中央にある四角アイコンをクリックします。
フレームの一部をレンダリング
上部ツールバーのクロップアイコンまたは「Shiftキー+ドラッグ」でレンダリングしたい範囲を指定することが出来ます。範囲を解除したい場合は上部のクロップアイコンをクリックしましょう。
スナップショット
レンダリングされたフレームはスナップショットとして一時的に保存することができます。スナップショットしたいフレームをレンダリングし、上部ツールバーの+アイコンをクリックするとシーンが書き出されます。
2つのスナップショットを比較する場合は、A/Bとして指定したいスナップショットを表示させ、右下にある「Set A」、「Set B」をクリックします。
なお、画像の比較はスライドの他、不透明度や回転を使って2つのスナップショットの確認が行なえます。
A/Bの指定を外す場合は「Remove A/B」をクリック、スナップショットのツールを非表示させたい場合は「Snapshot」のアイコンをクリックします。
フレームの拡大と移動
レンダリングされたフレームのプレビューサイズを変更したい場合は「%」の項目から数値を入力するかドロップダウンメニューから「Fit Window(ウィンドウに合わせる)」などを選んで切り替えると良いでしょう。
また、Alt(Option)キーを押しながらマウスをドラッグするとフレーム内移動を行うことも出来ます。
スナップショットの保存
レンダリングされたシーンを画像として保存する場合は上部メニューの「File」、「Save Image As..」をクリックします。
Finderなどのブラウザが開くので、保存先とフォーマットを選択して「Save」をクリックすれば保存できます。
Redshift RenderViewを好きな場所に配置する
Redshift RenderViewは左上にあるハンバーガーアイコンをドラッグし、Cinema 4Dのインターフェースがハイライトされた部分にドロップすることで好きな場所に配置できます。
Redshift RenderViewでは他にも用意されているツールがありますが、今回紹介した基本的な操作をマスターすればRedshiftでのレンダリングは問題なく出来ると思います。
使用するマテリアルの効果やポリゴンの数によってレンダリングの時間は左右されるので、レンダリング設定やオブジェクトのサンプリング数などを調整して最適なレンダリングを行うようにすると良いでしょう。
(MIKIO)