Cinema 4DRedshiftカメラ

[Redshift] カメラオブジェクトにボケ味(Bokeh)を加えて、写真のようなシーンを作成する方法とは?

Maxonが提供しているRedshiftはGPUを使った速いレンダリングが特徴のほか、フォトリアルな表現ができるレンダラーです。

be CG Artist!ではこれまでにRedshiftのPBRテクスチャの反映方法や、シェーダーグラフライトオブジェクトなどの使い方を説明しましたが、この他にも今回紹介するRedshift Cameraタグはカメラに被写界深度(Depth of Field = DOF)を加えることが出来るので、Redshiftを使う場合はぜひ利用したいツールの一つです。

Cinema 4Dのフィジカルレンダラーを使って被写界深度を加えることも出来ますが、Redshiftのレンダラーはより自然かつ、高速なレンダリングを行えるのでおすすめです。

シーンとカメラオブジェクトを用意する

カメラを追加する前にCinema 4Dのプロジェクトを用意しましょう。今回使用するシーンがこちらの腕時計のモデルです。

右側のパレットからカメラオブジェクトを追加し、アクティブにした上でアングルやフレーミングを確定します。

筆者の場合は文字盤とその中にある歯車などを強調したいので、クローズアップのショットにしています。カメラの設定は焦点距離が「85mm」でF値がデフォルトの「F8」です。

カメラオブジェクトの基本的な設定を完了させたら、オブジェクトマネージャに移動し、カメラオブジェクトを右クリックして「カメラ タグ」の中にある「Redshift Camera」を選択してタグを追加します。

被写界深度を追加する

Redshift Cameraタグを追加したカメラオブジェクトまたはタグをクリックして、Redshift Cameraタグのオプションを属性マネージャで表示します。

Bokeh」の項目に移り、「Override」と「Enable」にチェックを入れて被写界深度(ボケ味)を有効にします。

ビューポート上でRedshift IPRを作動してみると、多少ではありますがボケ味が追加されているのがわかります。

被写界深度の調整

Redshift Cameraタグを追加したカメラオブジェクトでの調整は基本的にCinema 4Dの被写界深度の調整方法と同じで、レンズのサイズ(焦点距離)とフォーカス距離、露出(F値)の3つを調整するだけで問題ありません。

Cinema 4Dにおける被写界深度の操作は「Cinema 4D カメラに被写界深度を追加して、写真のようなシーンをレンダリングしよう!」に詳しく書いてあるので、操作がわからない場合はまず先に読んでおくことをおすすめします。

ビューポートでRedshift IPRを作動させ、焦点距離とフォーカスしたいオブジェクトをスポイトツールを使って指定します。

次に「フィジカル」の項目に移り、「F値」を変更します。被写体やカメラのアングルなどにもよりますが、F2.8以下であればいい感じのボケ味を作ることが出来ます。

下のレンダリングでは「F1.8」にしたもの。文字盤の部分にボケ味が効いており、歯車の部分がはっきりわかる様になっています。

筆者の印象では、Cinema 4Dのフィジカルレンダラーのものに比べてより柔らかく本物の写真に近い感じがしました

Redshift Cameraタグでの設定

Redshift Cameraタグを使った被写界深度の設定は前の項目で行った方法で基本的に問題ないと思いますが、タグの「Bokeh」にある「Focus Settings」の項目から同じように操作することも出来ます。

Derive from Camera」の項目ではCinema 4Dのカメラオブジェクトの設定から切り離す設定が用意されています。デフォルトの「Focus Distance and CoC Radius」は「フォーカス距離とF値を連動する」設定になっています。

Focus Distance」にするとフォーカス距離はカメラオブジェクトで操作できる状態ですが、F値が切り離されているのため、その下にある「CoC Radius」のパラメータを操作します。こちらはF値の代わりに「CoC = Circle of Confusion(錯乱円)」が使われています。

None」にすると、カメラオブジェクトで操作できるフォーカス距離、F値、の操作が行えないものです。CoC Radiusの項目に加えて、「Focus Distance」からフォーカス距離を設定します。

Redshift RenderViewでの操作

ビューポート上での被写界深度の調整のほか、Redshift Viewでの操作も行えます。上部メニュー「ウィンドウ」から「Rendshift RenderView」をクリックしてウィンドウを表示します。

再生アイコンである「Start/Stop IPR」をクリックしてレンダリングを開始し、フォーカスのアイコンをクリックします。

このモードではフォーカスするオブジェクトと、錯乱円である「CoC Radius」の調整を行えます。フォーカスしたい部分をクリックすると、フォーカスが行われてカメラオブジェクト側の「フォーカス距離」も自動で変わります。

「Alt(Option)」キーを押しながらマウスをドラッグすると、CoC Radiusを操作してボケ味の効果を変更できます。

ただ、こちらの機能を利用するにはRedshift Cameraタグの「Bokeh」の項目にある「Derive from Camera」の設定が「Focus Distance」または「None」になっている必要があります。

Redshiftを使った被写界深度の設定はCinema 4Dの操作で慣れていれば比較的簡単に調整できると思います。Cinema 4D標準のフィジカルレンダラーに比べて、レンダリング時間は速いものの、照明や透過、反射などのマテリアルの数によっては時間がかかる場合があるので、その際はレンダリング設定などを見直してレンダリングすると良いでしょう。

(MIKIO)

mikio

コマーシャルを中心に企画から撮影、編集などの映像制作に10年携わる。最近3DCG制作にも興味を持ち始め、学んだことを備忘録として残したり、独学で3DCGを学びたい初心者にもわかるようにbe CG Artist!では3DCG制作で役に立つチュートリアルを紹介していきます。

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