Cinema 4Dは標準またはフィジカルレンダラーが搭載されていますが、2019年にGPUレンダラーで有名なRedshiftを販売していたRedshift Rendering Technologiesを買収し、Maxonファミリーの一つになります。
2019年の買収後Maxon Oneのサブスクリプションに含まれるなどはしたものの、依然として独立したサードパーティのレンダラーとして機能していました。しかし、2022年にリリースされたCinema 4D R26ではCinema 4Dのツールの一つとして、ついにRedshiftが組み込まれるようになったのです。
これまで有料だったRedshiftはCinema 4Dの一つのツールとして組み込まれたことで、Cinema 4D単体で利用できるようになります。ただし、CPUを使ったレンダリングのみとなり、GPUを使う場合はRedshiftを別に追加ライセンスが必要なので注意が必要です。
CPUとGPUレンダリングの切り換え
CPUを使ったRedshift CPUでのレンダリングを行う場合はCinema 4Dの一般設定、「レンダラー」の「Redshift」にある「Compute Device」の項目から行います。
CPUのみまたはGPUのみでレンダリングを行う場合は、レンダリングで使用したいデバイスにチェックを入れると良いでしょう。
試しに上のシーンGPUとCPUでレンダリングを行ってみたところ、GPUの場合はレンダリング完了まで18秒でしたが、CPUの場合は3分28秒とかなり時間がかかりました。
CPU、GPUを使っても問題なくレンダリングは出来ているものの、色味や反射の効果がGPUの時と比べて異なります。
また、「シンプルなダイアモンドをモデリングしてみよう!」の記事で作成したコースティクスなどが使われている透過オブジェクトをレンダリングしてみると、上のように不完全な状態でレンダリングされたので、現段階ではGPUを使ったレンダリングが最適かもしれません。
ライトなどのオブジェクト
レンダリング設定で「レンダラー: Redshift」を選ぶとCinema 4Dで利用できるライトオブジェクトや空オブジェクトなどが自動でRedshiftのものに切り替わります。
同じようにレンダラーを「標準」または「フィジカル」に変えると、以下のようにライトや空オブジェクトが切り替わります。
Cinema 4D標準のオブジェクトの場合はアイコンに「ST」がつくので、わかりやすくなっているのも嬉しいポイントです。
これまでは上部メニューのRedshiftの項目またはRedshiftコマンドをパレットに追加する必要があったので、今回のアップデートで簡単になったものの、Redshiftカメラは依然としてタグを追加する必要があります。
Redshiftカメラを利用する場合はカメラオブジェクトを追加した後で右クリック、「カメラ」から「Redshift Camera」を選択すると良いでしょう。
ビューポートでレンダリング
Redshiftを使ったレンダリングは別ウィンドウのRedshift IPRを使う必要がありました。しかし、Cinema 4D R26からはビューポート上でRedshift IPRを利用できるようになっています。
レンダリング設定でレンダラーを「Redshift」にすると、ビューポートのメニューに「Redshift」の項目が追加され、「Start IPR」をクリックしてレンダリングを行うことが出来ます。
最終レンダリングに近いバケットレンダリングを行う場合は「Bucket Mode」をクリックすると良いでしょう。他にもマテリアルの効果を無視した「Clay Mode」も用意されています。
「Option」の項目ではレンダリング時のスケールの変更なども行えます。
ビューポート上で確認が出来るRedshift IPRですが、これまでと同じウィンドウは残っているので、ビューポートで作業しながらIPRで確認したい場合は上部メニューの「ウィンドウ」から「Redshift RenderView」をクリックしてウィンドウを表示させると良いでしょう。
マテリアルとノードエディタ
Cinema 4D R26ではライトオブジェクトなどと同じくレンダラーをRedshiftにしてマテリアルを新規追加すると、デフォルトでRedshiftマテリアルが追加されるようになります。
Redshiftマテリアルも今回のアップデートにより、表示方法が変わります。RedshiftマテリアルをダブルクリックするとCinema 4Dの標準マテリアル同様にマテリアルエディタが表示されるようになりました。
以前のバージョンと同じようにシェーダーグラフを使って編集する場合はマテリアルエディタの「ノードエディタ」をクリックします。
RedshiftのシェーダーグラフはCinema 4Dのノードエディタと統合され、インタフェースが変わりました。操作に若干の変更がありますが、基本的に出来ることは同じです。
なお、R25以前のCinema 4DとRedshiftで作成されたプロジェクトのマテリアルはこれまで通りのシェーダーグラフが表示されます。
RedshiftはCinema 4Dの機能の一つとして組み込まれたことでよりスピーディーに作業ができるようになったのが嬉しいところ。
今回紹介したものの他にも様々な新機能が追加された今回のアップデートですが、こちらで紹介したものは中でもよく使うものになると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
(MIKIO)